江戸時代

江戸時代は、徳川家康が江戸幕府を開いた1603年から、大政奉還によって幕府が消滅する1867年までの、約260年間にわたる時代です。この時代は、武士が政治の実権を握り、平和で安定した社会が続きました。

幕藩体制と鎖国

徳川家康は、関ヶ原の戦いに勝利した後、1603年に征夷大将軍に任じられ、江戸（現在の東京）に幕府を開きました。

幕藩体制将軍が治める幕府と、全国に配置された大名が治める藩という二つの支配体制が組み合わされました。大名は、将軍から与えられた領地と人民を治め、その代わりに将軍に仕える義務を負いました。この体制を**幕藩体制（ばくはんたいせい）**と呼びます。
参勤交代大名の力を弱め、幕府の支配力を強固にするため、**参勤交代（さんきんこうたい）**という制度が設けられました。大名は、定期的に江戸と自分の領地を往復することが義務付けられ、妻や子供は人質として江戸に住むことになりました。これにより、大名家は多額の費用を使い、経済力が弱まりました。
鎖国幕府は、キリスト教の布教を禁じるため、日本と外国との交流を厳しく制限しました。これを**鎖国（さこく）といいます。オランダ、中国、朝鮮、琉球など一部の国とのみ交易が許され、長崎の出島（でじま）**は、外国との唯一の窓口となりました。

江戸時代は、武士、百姓（農民）、町人（商人・職人）といった身分制度が確立されました。

長期にわたる平和が続き、経済が安定したことで、庶民の間に新しい文化が花開きました。

化政文化19世紀初めに栄えた文化で、庶民の生活や風俗を題材にした文化が発達しました。葛飾北斎（かつしかほくさい）の**『富嶽三十六景』や歌川広重（うたがわひろしげ）の『東海道五十三次』といった浮世絵（うきよえ）**が人気を集めました。
文学井原西鶴（いはらさいかく）の小説や、松尾芭蕉（まつおばしょう）の俳諧（はいかい）が生まれました。
寺子屋庶民の教育機関である**寺子屋（てらこや）**が全国各地に広まり、識字率が高まりました。

19世紀に入り、外国船が日本近海に姿を現すようになり、鎖国体制は揺らぎ始めました。

ペリー来航と開国1853年、アメリカの**ペリー提督（ていとく）が黒船を率いて来航し、開国を要求しました。幕府は要求を受け入れ、翌年に日米和親条約（にちべいわしんじょうやく）**を締結し、鎖国は終わりを告げました。
幕府の崩壊開国を巡る幕府の対応に対し、不満を持つ武士たちが尊王攘夷（そんのうじょうい）（天皇を尊び、外国を追い払う）を掲げて反発しました。薩摩藩（さつまはん）や長州藩（ちょうしゅうはん）といった有力な藩が力をつけ、幕府と対立しました。1867年、最後の将軍徳川慶喜（とくがわよしのぶ）が政権を朝廷に返す**大政奉還（たいせいほうかん）**を行い、江戸時代は幕を閉じました。