壬申の乱
壬申の乱は、672年に起こった、古代日本で最大の皇位継承をめぐる内乱です。大海人皇子（おおあまのおうじ、後の天武天皇）と大友皇子（おおとものおうじ）が、それぞれの大義を掲げて争いました。この戦いは、天皇を中心とした律令国家の確立を決定づける重要な転換点となりました。
乱が起こった背景
壬申の乱の根本的な原因は、天智天皇の死後、誰が後を継ぐべきかを巡る皇位継承問題でした。
- 天智天皇の死と後継者問題天智天皇は、弟である大海人皇子を皇太子と定めていましたが、晩年には自分の息子である大友皇子を後継者にしようと考えました。これにより、大海人皇子と大友皇子の間で緊張が高まりました。
- 大海人皇子の出家身の危険を感じた大海人皇子は、世俗を捨てて出家し、吉野（現在の奈良県）に隠遁しました。これにより、大友皇子が事実上の後継者となり、新政権の準備が進められました。
壬申の乱の経過
大海人皇子は、吉野でひそかに挙兵の準備を進めていました。
- 挙兵と激戦天智天皇が亡くなると、大友皇子らは大海人皇子を討つことを画策しました。これを知った大海人皇子は、**「兵を起すべし」**との言葉で、ついに挙兵しました。大海人皇子側の兵は少なかったものの、地方の豪族を味方につけ、大友皇子の軍と激しく戦いました。
- 大海人皇子の勝利大海人皇子の軍は、美濃（現在の岐阜県）や伊勢（現在の三重県）などの要衝を押さえ、各地で勝利を重ねました。追い詰められた大友皇子は、瀬田の唐橋（せたのからはし、現在の滋賀県大津市）での最後の戦いに敗れ、自害しました。
壬申の乱の影響
壬申の乱は、日本の歴史に大きな影響を与えました。
- 天武天皇の即位と律令国家の確立勝利した大海人皇子は、天武天皇として即位しました。彼は、皇族や豪族の権力を抑え、天皇中心の強力な中央集権国家の建設を推し進めました。これにより、後の**大宝律令（たいほうりつりょう）**の制定へとつながり、律令国家の基礎が確立されました。
- 権力の集中この乱を通じて、天皇の権威が揺るぎないものとなり、豪族の力は大きく削がれました。これにより、天武天皇は、絶対的な権力を持つ天皇として君臨しました。
壬申の乱は、単なる皇位継承争いではなく、古代国家のあり方を決める重要な戦いでした。
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