明治時代
明治時代は、1868年の明治維新から大正天皇が即位する1912年までの時代です。江戸幕府が倒れ、天皇を中心とする新しい政府が日本の近代化を急速に進めました。
明治維新と近代国家の形成
江戸時代末期の混乱を経て、徳川慶喜が大政奉還を行い、幕府は滅亡しました。新しい明治政府は、天皇を中心とした近代国家を目指し、大胆な改革を次々と断行しました。
- 五箇条の御誓文新政府の基本方針として、**五箇条の御誓文(ごかじょうのごせいもん)**が公布されました。これは、広く会議を開いて意見を求め、旧来の習慣を打破して、新しい国造りを目指すというものでした。
- 廃藩置県幕藩体制を解体し、中央集権体制を確立するため、政府は全国の藩を廃止し、県を置きました。これを**廃藩置県(はいはんちけん)**といいます。これにより、日本の支配体制は一元化されました。
- 四民平等江戸時代の身分制度が廃止され、士農工商の区別がなくなりました。すべての国民が平等であるという四民平等(しみんびょうどう)が唱えられました。これにより、旧武士は士族、農民や町人は平民となりました。
殖産興業と富国強兵
明治政府は、西洋諸国に追いつくため、「富国強兵」と「殖産興業」をスローガンに掲げました。
- 殖産興業政府は、新しい産業を育成するために、官営の工場を建設したり、鉄道や電信、郵便制度を導入したりしました。特に、群馬県の**富岡製糸場(とみおかせいしじょう)**は、日本の近代産業のモデルとなりました。
- 徴兵制と軍隊の近代化国民から兵士を集める**徴兵令(ちょうへいれい)**が制定され、近代的な軍隊が整備されました。これにより、日本は強力な軍事力を持つ国へと変貌していきました。
- 文明開化西洋の文化や思想が積極的に取り入れられ、人々の生活は大きく変化しました。ガス灯やレンガ造りの建物、洋服や牛肉を食べる習慣などが広まり、これを**文明開化(ぶんめいかいか)**といいます。
日清・日露戦争と条約改正
明治時代後半、日本は近代国家として国際的な地位を確立するため、外交を進めていきました。
- 日清戦争朝鮮半島を巡って清(中国)と対立し、1894年に**日清戦争(にっしんせんそう)**が勃発しました。勝利した日本は、朝鮮半島への影響力を強め、国際社会での存在感を示しました。
- 日露戦争次に、ロシアと満州や朝鮮半島を巡って対立し、1904年に**日露戦争(にちろせんそう)**が起こりました。日本は苦戦しながらも勝利し、列強としての地位を確固たるものにしました。
- 不平等条約の改正明治政府は、江戸時代末期に諸外国と結んだ不平等な条約(治外法権や関税自主権の欠如)を改正するため、外交努力を続けました。**陸奥宗光(むつむねみつ)や小村寿太郎(こむらじゅたろう)**らの尽力により、ついに条約の改正に成功しました。
明治時代の終焉
明治天皇の崩御(1912年)により、約45年続いた明治時代は終わりを告げ、大正時代へと移り変わりました。この時代に築かれた近代国家としての基盤は、その後の日本の歴史を大きく方向づけることになりました。